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関税をかけると物価や雇用はどう変わるのか?

GIGAZINE ·
関税をかけると物価や雇用はどう変わるのか?

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海外で作られた食品や家電の価格を左右する要因の1つが「関税」です。国内産業を守るためにも使われる関税が日々の買い物や雇用、さらには世界経済にどのような影響を与えるのかを、教育系YouTubeチャンネルのTED-Edがアメリカの事例をもとに解説しています。 What are tariffs, and how do they work? - YouTube

世界恐慌のさなかの1930年、アメリカのハーバート・フーバー大統領は、農産物や工業製品の輸入関税を引き上げる スムート・ホーリー関税法 に署名しました。輸入品の価格が上がれば消費者が国産品を選ぶようになり、国内の農家やメーカーの売り上げが増えて雇用も拡大すると考えたためです。

しかし、他国もアメリカ製品に関税をかけて対抗しました。TED-Edによると、アメリカの輸出が減り、世界全体でも貿易が縮小して、アメリカの失業者はさらに増えたとのこと。この法案には成立前から1000人以上の経済学者が反対を表明していました。

関税とは、商品を輸入する際に輸入業者が政府に納める税金です。例えば、1000ドルの商品に10%の関税がかかる場合、輸入業者は売り手に代金の1000ドルを支払うほか、政府に100ドルを納めます。

外国の輸出業者が取引を続けてもらうために値下げすれば、輸入業者の負担は軽くなります。一方、値下げがなければ、関税の分だけ輸入にかかる費用が増えます。輸入業者がその分を販売価格に上乗せすると、最終的に負担するのは消費者です。

また、同じ商品でも、どの国から輸入するかで関税率は変わります。2024年のアメリカの羊毛輸入の場合、貿易協定を結ぶメキシコや韓国からは無関税で輸入できる一方、ロシアからの輸入には高い関税がかかります。

こうした関税は国内の羊毛生産者の保護につながることもありますが、輸入業者が関税の低い国に仕入れ先を変えるだけの場合もあります。輸入品に関税をかけても、その分だけ国産品の購入が増えるとは限りません。 関税で雇用が増える一方、消費者に大きな負担がかかる場合もあります。2018年にアメリカが輸入洗濯機に関税をかけた際には、国内の洗濯機製造業で約1800人分の雇用が生まれ、政府は年間約8200万ドル(約128億6700万円)の関税収入を得ました。

ところが、洗濯機の価格は1台当たり約86ドル(約1万3500円)上がりました。この事例を分析した 研究 (PDFファイル) によると、関税の対象ではなかった衣類乾燥機も値上がりし、両方を合わせた消費者の追加負担は年間約15億5000万ドル(約2433億2400万円)に上ると試算されています。この追加負担から政府の関税収入を差し引き、新たに生まれた雇用の数で割ると、1人分当たり年間約81万7000ドル(約1億2800万円)の負担になる計算です。

ある産業で雇用が増える一方、別の産業で雇用が減ることもあります。2002年、ジョージ・W・ブッシュ政権は輸入鉄鋼に最大30%の関税を課しました。国内の鉄鋼業では長年にわたって雇用が減っており、これを食い止めるのが狙いでした。導入当初は雇用の減少が緩やかになりました。

しかし、国産の鉄鋼も、関税をかける前の輸入鉄鋼に比べれば割高でした。そのため、鉄鋼を材料に使うアメリカのメーカーは製品を値上げせざるを得ず、安い鉄鋼を使える海外のメーカーとの価格競争で不利になりました。TED-Edによると、関税の導入から1年以内に、鉄鋼を使う産業で失われた雇用の数は、鉄鋼業で新たに生まれた雇用の数を大きく上回ったとのことです。

さらに、関税をかけられた国がどう対応するかによっても、経済への影響は変わります。2018年、アメリカは中国からの輸入額が中国への輸出額を上回る「貿易赤字」を減らそうと、中国製品に関税を課しました。その結果、国内企業の保護や政府の増収にはつながったものの、中国もアメリカ製品への関税を引き上げて対抗し、貿易戦争へと発展しました。

中国の報復関税で打撃を受けたのが、大豆の輸出先として中国に依存していたアメリカの農家などです。この貿易戦争はアメリカ国内の物価上昇と国内総生産(GDP)のわずかな減少につながりました。

その後の約200年間で、各国の経済は互いに深く結びつくようになりました。現在は完成品に加え、さまざまな製品を作るための部品も国境を越えて取引されています。

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